コラム
新リース会計基準とは?わかりやすく解説|ファイナンスリース・オペレーティングリースの違いと企業の対応方法
「新リース会計基準に対応が必要です」と言われて、正直よく分からない…と思っていませんか?
- 経理の話では?
- システム部門に関係あるの?
- 何を変えればいいの?
今回の改正は、単なる会計処理の変更ではありません。
契約管理の仕組みそのものを見直す話です。
会計に詳しくないシステム担当者の方でも理解できるように、本コラムで説明します。
そもそも「リース」とは何か?

リースとは簡単に言えば、「モノを買わずに、一定期間使う契約」です。例えば次のようなものです。
- オフィスの賃貸契約
- 社用車のリース
- コピー機のリース
- サーバーや設備の利用契約
これまでのルール:リースは2種類あった

① ファイナンスリース(実質「分割払い購入」)
イメージはほぼ買ったのと同じ契約です。
■特徴
- 原則、途中解約できない
- 契約期間が長い
- 支払総額が購入価格に近い
つまり「分割払いで買っている」のと同じと考えられ、
- 資産(持っているモノ)
- 負債(将来払うお金)
を計上していました。
② オペレーティングリース(レンタル型)
こちらは借りているだけという考え方です。
■特徴
- 比較的短期間
- 解約可能な場合もある
- 使用後に返却
この場合は、毎月の支払額をそのまま費用として処理していました。
新リース会計基準で何が変わるのか?
新基準では、原則としてオペレーティングリースも「資産」と「負債」として計上するという考え方になります。つまり、ほぼすべてのリースが「借金のような扱い」になるということです。
新リース会計基準の適用開始時期と適用対象
原則として2027年4月1日以後に開始する事業年度の期首から適用されます。
新リース会計基準の対象となるのは、主に上場企業や会計監査人の設置が義務付けられている企業です。具体的には以下2点に該当する企業です。
(1)金融商品取引法の適用を受ける企業(上場企業など)とその子会社・関連会社
(2)会社法上、会計監査人の設置が義務付けられている企業とその子会社
なお、中小企業については、新リース会計基準の適用は原則として任意適用です。
財務情報への影響
これまではオペレーティングリースとして費用処理されていたものが、ファイナンスリースと同様に「減価償却費」と「支払利息」に分けて計上されるようになります。これによって損益計算書へ影響が出ます。
また、オペレーティングリースがオンバランス(※)され、貸借対照表の資産と負債の金額が増大します。
※企業会計において、保有する資産や負債を貸借対照表(バランスシート)に計上すること。
企業は何をしなければならないのか

① どの契約が対象か洗い出す
対象になり得るものは想像以上に多いです。
- 不動産賃貸
- 車両
- 複合機
- IT機器
- サーバー利用契約
- 一部のクラウド契約
問題は、契約が社内に分散していることです。総務、営業、情報システム部門など、誰も全体を把握していないケースが非常に多いのです。
② 契約情報を正確に管理する
必要になる情報は次の通りです。
- 契約開始日
- 契約終了日
- 更新条件
- 解約条件
- 支払総額
紙契約、メール保存、担当者任せ――この状態では対応は困難です。「請求書管理」ではなく「契約管理」へ発想を切り替える必要があります。
③ 毎月の処理方法を変える
これまで:請求書を処理して終わり。
これから:契約全体をもとに最初に計算し、毎月分割して処理。
Excel管理では、更新時に数式が壊れる、担当者が異動すると分からなくなる、といったリスクが高まります。
システム担当者が考えるべきこと
1. いきなりシステムを探さない
まず整理すべきは業務フローです。
- 誰が契約するのか
- 経理へどう共有するのか
- 更新は誰が管理するのか
- 解約時の連絡はどうするか
業務が決まっていない状態でシステムを入れると、確実に混乱します。
2. システム対応の選択肢
① Excel管理
件数が少ない場合のみ有効。ただし将来増えるなら危険。
② 会計システムの追加機能
既存環境を活かせる中規模企業向き。
③ 専用リース管理システム
契約件数が多い企業向き。内部統制も強化できる。
判断基準は「契約件数」と「将来増えるかどうか」です。
よくある失敗
- 経理任せにする
- とりあえずExcelで様子を見る
- 制度対応をコストとしか見ない
- 業務を変えずにシステムだけ入れる
制度対応は義務ですが、契約の棚卸しをすれば、不要契約の解約や条件見直しにつながることもあります。
まとめ

新リース会計基準は、会計ルールの変更ではなく、契約管理の見える化と仕組み化の話です。システム担当者が今確認すべきことは次の4点です。
- 契約はどこにあるか?
- 誰が管理しているか?
- 更新情報は追えているか?
- 今の管理方法で将来も耐えられるか?
単なる制度対応で終わるのか、会社を一段強くする機会にするのか。そこが分かれ道です。
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