コラム
明日から使える SaaS時代の『失敗しない』プロジェクト実践(全6回)| 第1回:なぜプロジェクトは失敗するのか?― プロジェクトの成功が、会社の未来をつくる ―
1. はじめに
特にクラウド・SaaSの普及により、
「仕組みを見直す場面」
「業務ルールを再定義する場面」
これらが年間を通して発生するようになりました。
もはやプロジェクトは“特別なイベント”ではなく、中小企業にとって日常的に向き合うテーマになりつつあります。
今、多くの中小企業で「プロジェクト」が同時多発的に走っています。
SaaSの普及、AIの台頭、労働力不足…。
しかしその一方で、次のような声もよく耳にします。
- 「スケジュール通りに進まない」
- 「現場の反発に遭い変革に至らない」
- 「誰が判断するか曖昧なままとりあえず進めている」
- 「思っていた結果と違う」
上記の声が上がるプロジェクトの多くに共通する原因は、
「プロジェクトとは何か」を十分に整理しないまま進めてしまっている点です。
プロジェクトは、日常業務とは全く異なる“未来をつくる仕事”です。
その前提を押さえなければ、大小問わず必ずどこかでつまずきます。
この「明日から使える SaaS時代の『失敗しない』プロジェクト実践」シリーズは以下の構成で発信します。
- 【第1回:導入編】なぜプロジェクトは失敗するのか?
- 【第2回】“決める力”がプロジェクトを動かす
- 【第3回】SaaS導入は「情報不足」で失敗する
- 【第4回】本番直前に崩壊するプロジェクトの共通点
- 【第5回】 “導入しただけ”にならない運用定着の仕組みづくり
- 【最終章】乱立するSaaSとAI内製化時代に、中小企業が選ぶべき”最適解”とは
第1回では導入編として、
「なぜプロジェクトは失敗するのか?」
その根本原因を、中小企業向けに分かりやすく解説します。
2. プロジェクトとは何か? 日常業務との違い
まず押さえておきたいのは、
プロジェクトは“非日常”であるということです。
普段の業務と比較すると、その性質がよく分かります。

● 日常業務(オペレーション)
- 同じ作業の繰り返し
- ミスを減らす、効率を高めるための改善が中心
- 手順が決まっている
- 目的は「品質を維持する」こと
● プロジェクト
- 今までにない取り組み
- 新しいやり方、新しい仕組み、新しい価値をつくる仕事
- 手順が存在しない
- 正解がない
- 目的は「変化を起こす」こと
つまり、
日常業務の延長線の思考では絶対にうまくいかないのがプロジェクトです。
- いつも通りの進め方
- ぶっつけ本番
- 言わなくても分かる文化
- 誰かがやってくれるだろうという期待
これらはすべて、プロジェクトには通用しません。
プロジェクトは、会社の未来を変えるための“もう一つの仕事”なのです。
3. 中小企業プロジェクトがつまずく5つの誤解
エッグシステムがこれまで支援させていただく中で感じてきた、
中小企業に“特に多い”誤解を整理します。
① プロジェクト=システム導入だと思っている
実際には、
- 業務の見直し
- 役割分担の再整理
- 社内の意思決定プロセスの見直し
といった、会社全体の変革が含まれます。
② ベンダーが何とかしてくれると思っている
SaaS時代は特に逆で、
“企業側が決める”ことが圧倒的に増えています。
権限、承認、運用、例外処理、マスタ定義…。
ベンダーは「ツールの説明」「ツールの設定支援」はできますが、
会社の事情・業務・文化を踏まえた設計はできません。
③ IT部門の仕事だと思っている
決めるべき内容の多くは、業務部門での判断が必要です。
IT部門だけでは決められません。
④ 時間ができたらやろうと思っている
プロジェクトは“時間をつくる”発想が必要です。
日常業務の合間に片手間でやるとうまくいきません。
⑤ 何とかなるだろうで進めてしまう
“何とかする”とは、プロとして方法を知っているから成立する言葉です。
専門知識なしで突っ込むと、
必ずどこかで大きな手戻りが発生します。
4. プロジェクトの成功を左右する4つの本質
PMBOK※1などの体系的な知識をすべて学ぶ必要はありません。
一方で、中小企業のプロジェクトにおいては、『最低限ここを押さえておかないと失敗につながりやすい』という
ポイントがあります。私たちがこれまでの支援経験から実感しているのは、次の4つです。
※1:プロジェクトを成功に導くための知識・手法・プロセス・ツールなどを体系的にまとめた国際的な標準ガイドブック
① 目的(ゴール)が曖昧なままでは、判断軸を失いやすい
SaaS導入の目的は“導入すること”ではありません。
本来のゴールは、業務が改善され、会社が前進することです。
目的が曖昧なまま進むと、
「この判断は正しいのか」「どちらを優先すべきか」といった場面で、共通の判断軸を持てず、プロジェクトは迷走しがちになります。
完璧な言語化である必要はありません。
まずは方向性だけでも明確にしておくことが、後々の判断を支える土台になります。
② 判断が滞ると、プロジェクトは確実に遅延する
中小企業のプロジェクトで、特によく見られる状況です。
- 決裁者が会議に参加していない
- 持ち帰りばかりで結論が決まらない
- 「とりあえず続けよう」という曖昧な状態が続く
プロジェクトにおいて、判断の遅れはそのまま停滞につながります。
判断のスピードは、プロジェクトの成功確率に直結する要素と言っても過言ではありません。
また、プロジェクトは期間が延びるほどコストがかかります。(下図の通り)

” 経営ボード・管理職の皆さまが積極的にプロジェクトへ参加する “
これだけで上記コストは削減が可能です!
③ 情報共有こそ最大の成功要因
プロジェクトでは、小さな情報共有の積み重ねが成功と失敗を分けます。
- 分からない
- 気になる
- 不安がある
- 例外的な業務処理がある
“まだ言わなくてもいいかな”と思った情報ほど、実はプロジェクトでは価値があります。
情報共有は”問題が起きてから”ではなく、”気になった時点”で行うことが、成功への近道です。
この”情報共有のコツ”については、第3回で詳しく解説します。
④ 人が動かなければプロジェクトは動かない
中小企業では、個々人の裁量や経験が業務を支えているケースが多くあります。
だからこそ、制度や仕組みだけを整えても、人が動かなければプロジェクトは前に進みません。
- 本音で話せる環境
- 意見を否定しない文化
- 誰でも相談できる空気
こうした土台があって初めて、変化を伴うプロジェクトは動き出します。
5. プロジェクトの失敗パターンはすべて回避できる
中小企業で起こるプロジェクトの混乱は、
多くの場合、能力不足ではなく、「どう進めればよいか」という
方法を十分に知らないまま進んでしまっていることが原因です。
実際によく見られるのが、次のようなケースです。
- 承認フローを決めないままSaaSの設定作業が進む
- 例外的な業務処理が後半で発覚し、プロジェクト全体が止まってしまう
- 現場が十分に関与しておらず、導入段階で反発が起こる
- “決めるべき人”が不在で判断が滞ってしまう
これらはいずれも、事前に押さえるべきポイントや進め方を知っていれば、十分に防ぐことができるものです。
次回以降のコラムでは、
こうした失敗を避けるために「何を」「どの順番で」「どのように」進めればよいのか、
この“方法”を具体的に解説していきます。
6. まとめ:プロジェクトの成功は、会社の未来をつくる
プロジェクトは、単なるシステム導入ではありません。
会社の未来をつくるための、最もクリティカルな仕事です。
その成功確率は、
- 決める
- 伝える
- 試す
- 定着させる
この4つをどう整えるかで大きく変わります。

プロジェクトは会社を変える大きなチャンスです。
そしてそのチャンスを成果に変えられるかどうかは、現場に寄り添いながら一緒に進める姿勢にかかっています。
第2回以降は、「では、どうすれば失敗しないのか?」をステップごとに深掘りしていきます。
もし今回の内容を読んで、
「うちのプロジェクトも同じ状況かもしれない…」
「どこから手をつければ良いか分からない」
「判断や進め方に不安を感じている」
と感じられた場合は、ぜひ一度ご相談ください。
エッグシステムは、単なる“外部の専門家”として助言するのではなく、
貴社の“もうひとりの社員”として入り込み、
現場と一緒に進める伴走型支援を行っています。
プロジェクトの方向性整理、要件定義、SaaS選定、運用定着まで、
必要なところに必要な分だけ関わりながら、成果が出るまで伴走します。
業務改善・システム導入をきっかけに、組織を変えていきたい方は、
ぜひ無料相談もご検討ください
次回は 第2回「“決める力”がプロジェクトを動かす」です。