コラム
「業務の見える化」だけで終わらせない――管理部門と利用者の共創で進める業務改善・システム導入の実践ステップ
前回のコラムでは、「現在の業務の見える化」をすることの重要性についてお伝えしました。
業務全体を整理することで、業務のムダや属人化の所在が明確になり、改善のスタートラインに立つことができます。
一方で、「現在の業務の見える化はできたが、その先の進め方が分からない」という声も少なくありません。
現在の業務を見える化したその先に進むためには、管理部門※1と利用者※2の双方で合意形成しながら「目指す改善後の姿を」描き、小さく実行しながら小さな成功を積み重ねていく「共創」が欠かせません。
※1 管理部門:当該業務やシステムを管理する部門
※2 利用者:当該業務を行ったりシステムを利用する人
本コラムでは、管理部門と利用者が共創しながら業務改善・システム導入を進めるための実践のヒントをご紹介します。
なぜ「現在の業務の見える化のその先」で止まってしまうのか
現在の業務を見える化したものの、その後の改善方針が定まらず時間だけが過ぎてしまうことがあります。
よくある原因のひとつは、管理部門と利用者の視点の違いです。
- 管理部門:統制、ルール遵守、リスク低減を重視
- 利用者:使いやすさ、作業負荷の軽減、スピード感を重視
管理部門は「守り」、利用者は「攻め」という立場になりやすく、どちらか一方の都合に偏った改善は、もう一方の不満を生み、結果として定着しません。
このギャップを埋める鍵となるのが、「共創」という考え方です。
共創で描く「目指す改善後の姿」 ― 管理部門と利用者、双方を巻き込む4つのポイント ―
私たちは、管理部門・利用者の双方が納得し、前向きに取り組める改善を実現するために、「目指す改善後の姿」を共創で描くことを重視しています。
その際、特に大切にしているポイントが次の4つです。
① 改善の「目的」を明確にする
最初に行うべきは、「何のために改善するのか」という目的の認識合わせです。
今回の取り組みは、
- ガバナンス強化が主目的なのか
- 生産性向上が主目的なのか
- あるいは、その先に実現したい経営課題があるのか
改善の目的によって、選ぶべき手段や優先順位は大きく変わります。
例えば、ガバナンス強化が目的であるにもかかわらず、効率化だけを追い求めてしまうと、目的と手段が乖離してしまいます。そしてこの「目的」が共有されていない状態では、管理部門・利用者間のコンフリクトを解消することはできません。
まずはここを丁寧に揃えることが、共創の出発点です。
② 個別最適から全社最適へ視点を引き上げる
目的を共有した後は、視点を「自部門」から「全社」へ引き上げることが重要です。
自部門の都合だけで考えてしまうと、例えば以下のように、どうしても意見は対立しがちになります。
- 管理部門の都合を優先して改善要件を決めてしまい、利用者の要望は考慮されないことで、利用者の不便は解消されず、ハレーションを生む
- 利用者の都合を優先して改善要件を決めてしまい、管理部門が満たす必要のある要件が充足しないことで※、管理に支障をきたす状態になる ※管理すべき項目が揃わない・ログやバックアップなどの統制要件が不十分など
そこで、どちらかの理想を押し通すことではなく、「全社最適の観点で見たとき、何がベストか?」という問いを軸に議論を進め、折り合いをつけます。
場合によっては、管理部門・利用者のどちらかに一時的な負担が生じる改善策もあります。その際も、「全社として見ればプラスである」と腹落ちできていなければ、改善は長続きしません。
③ 本音に向き合い、感情を置き去りにしない
ここまでのプロセスは、比較的ロジカルな進め方です。
しかし、理屈では分かっていても、感情が追いつかないのが人です。
だからこそ、本音に向き合う時間を意図的に設けることが欠かせません。「実際のところ、どう感じているのか」「何に不安や不満を感じているのか」を丁寧に聞きます※。
※管理部門・利用者一緒の場でヒアリングを行うと、各々への遠慮などから本心を伺いきれない可能性があるため、別々の場で行うことを推奨
すべてを解決できなくても、「話を聞いてもらえた」と感じるだけで、気持ちが整理されることも少なくありません。
必要に応じて、相手部門に配慮しながら想いを共有し、相互理解を深めていきます。
④「目指す改善後の姿」を可視化する
合意形成ができたら、その結果を統合版の業務フローや業務イメージ図として可視化します。
管理部門・利用者の双方が納得できる「目指す改善後の姿」を、一つの形に落とし込むことで、認識のズレを防ぎます。
この可視化された姿が、今後の業務改善やシステム導入を進める上での共通の拠り所となります。
小さく始めて成功を積み上げる ― 「小さな試行」「小さな成功」が定着のカギ ―
合意した「目指す改善後の姿」は、いきなり全社展開する必要はありません。
まずは、次のような形で小さく試すことが重要です。
- 小規模範囲(1部門・1拠点など)で試行
- 成果を振り返る(数値・体感の両面で)
- 例:「承認フローが1ステップ減った」「入力時間が5分短縮された」など
- 成功事例を社内に共有
- 範囲を徐々に拡大
こうして「小さな成功体験」を積み重ねることで、改善活動が一過性で終わらず、組織文化として定着していきます。
業務改善は「正解を探すこと」ではなく、「正解を育てること」と捉えることがポイントです。
システム導入は“目的”ではなく“手段”
業務改善を支える手段としてシステムを導入する場合も、考え方は同じです。
「目指す改善後の姿」に合致するシステムを複数試し、小さく試しながら最適なものを選びましょう。
導入後も段階的に展開して成功体験を積み重ねることで、社内に成功事例を共有しやすくなり、定着につながります。
システム導入はゴールではなく「改善を実現する環境づくりの一手段」であることを忘れないようにしましょう。
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共創を支える“翻訳者”の存在
業務改善やシステム導入を前進させるには、管理部門と利用者の間をつなぐ「翻訳者」の存在が重要です。
双方の言葉や背景をかみ砕いて伝え、目的を整え、対話を促す役割です。
この存在があることで、「話が通じない」「利害が合わない」といった理由で改善が止まるリスクを大きく減らすことができます。
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まとめ:共創が生む“持続する改善文化”
「現在の業務の見える化」はゴールではなく、スタートラインです。
そこから何を変え、どう実行するかが本質的な改善につながります。
成功する企業は次の3点を意識しています。
- 管理部門と利用者が共創し、全体最適を意識する
- 小さな成功を積み重ねて改善の文化を根付かせる
- システム導入は目的ではなく、理想を実現する手段と捉える
見える化の先に進むためには、「対立」ではなく「共創」。小さな一歩を重ねることが、大きな変化につながります。
このコラムが、あなたの組織の次の一歩を後押しできれば幸いです。
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