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プロジェクト体制図の良い書き方と悪い書き方【実例あり】

プロジェクト体制図の良い書き方と悪い書き方【実例あり】

システム導入や業務改善などのプロジェクトが立ち上がったら、プロジェクト計画書を作成します。プロジェクト計画書には、プロジェクトの目的やスケジュール、コスト、コミュニケーションルールなどを記載します。

プロジェクト計画書の中でも重要な要素の一つが「体制図」です。プロジェクト計画書に記載される体制図の書き方が悪いと、体制図の目的を果たすことができないため、プロジェクトが思うように進まない要因にもなりかねません。そこで今回は、実際の事例を用いながら、本来作成すべき「プロジェクト体制図」とは何かを解説します。
 
 

プロジェクト体制図はなぜ必要か?

 
まずは、そもそも体制図がなぜ必要なのか明文化しておきます。
 
プロジェクト体制図を作成する目的は以下の2点です。

◯ プロジェクトに参加するメンバーとそれぞれの役割を定義する
◯ メンバー間の指揮命令系統を定義する
 
定義した内容をプロジェクトの関係者間で共有し、認識を統一することも重要な目的の一つです。
体制図はプロジェクト計画書の一部として書かれることが多く、主にキックオフなどで説明されます。体制図を提示して認識を合わせておかないと、「この課題はどのチームで対応すべきか」「このメンバーは誰の指示で業務を行うべきか」「誰の責任なのか」といったことが不明確になり、結果的にプロジェクトの進捗が遅延したり、課題が解決されないままになったり、といった問題へ繋がります。
 
様々な企業様のプロジェクトへ参画させて頂くと、体制図とは名ばかりで、本来の目的を果たせていない体制図がシステムベンダーから提示されることがあります。実際にあった事例をもとに、体制図の問題点と改善点を解説していきます。
 
 

悪いプロジェクト体制図の事例(1)

 
システムベンダーが提案書に記載した実際の体制図です。どこが問題でしょうか?

体制図


 

問題1.指示命令系統が複数ある

 
右下の担当SEに対して、左側のSEと右側のチームリーダーの2つから線が伸びています。この書き方だと、両方から指示命令が来るということを表しますが、実際に業務を行う上でどちらの指示命令に従えばよいのか分かりません。

また、細かい点としては矢印や線が重なっているため、どの担当者からどの担当者に対して線が繋がっているかわからないという点も要改善事項です。指示命令系統が不明確だからです。
 

問題2.PJリーダーと開発PMの役割が不明確

 
左側のPJリーダーと右側の開発PMは、横並びになっているため、同等の権限を持っていると推測できます。しかし、PJリーダー配下にもSEがいますし、開発PM配下にもSEがいるため、この体制図を見る限りでは両者の役割分担がどのように分かれているのか読み取ることができません。それぞれの役割が不明確な状態です。
 
 

悪いプロジェクト体制図の事例(2)

 
次はこちらのシンプルな体制図です。こちらもシステムベンダーが提案書に記載した実際の体制図です。ぱっと見は悪くないようにも思えますが、よく見ると不明確である点が分かります。

悪いプロジェクト体制図の事例


 

問題1.注意書きなく、同じ担当者が複数箇所に記載されている

 
開発チームと品質・運用チームのリーダーがどちらも「C」になっています。実際に兼務することはあり得ますので、もし兼務であるならばCは兼務で2つのチームリーダーを行うということを明記すべきです。
(プロジェクト規模によりますが、リーダーが担う役割は多いためリーダーの兼務はそもそもあまりオススメできませんが…)
 

問題2.チーム内の体制が省略されすぎている

 
特に品質・運用チームと基盤チームにおいては、品質メンバー、運用メンバー、メンバー、サポートという異なる役割の担当者が所属しています。それらを同じ箱の中に記載すると、それぞれのメンバーの役割や指示命令系統が分かりません。

 
 

プロジェクト体制図を作成する際のポイント

 
2つのプロジェクト体制図における問題点を踏まえ、体制図を作成する際に気をつけるべきポイントを整理します。
 

1.曖昧な書き方は避けて役割を明確にする

 
プロジェクト体制図を作成する大きな目的が役割の明確化ですので、曖昧な書き方は避けましょう。
同列に異なる役職を並べるのであればそれぞれの役割について補足説明を付け加えましょう。また、体制図をシンプルにするとしても、異なるチームや異なる役割は統合して記載せずに、分けて記載することをオススメします。

体制図を見れば役割を一意に捉えることができる状態が理想です。
 
しかし、プロジェクト規模が多かったり、役職やチームが多いとプロジェクト体制図だけでは役割分担を読み取れないこともあると思います。その際は体制図とは別で「役割分担表(役職に対して役割を記載説明した表)」を作ることをオススメします。何でもかんでも体制図で表現しようとすると、複雑で見にくくなってしまいますので、役割分担表を作るなどして書き方を工夫しましょう。
 
 

2.指示命令系統を1本化する 

 
役割の明確化とともに、指示命令系統も明確化するために、一つの箱に向かってくる矢印・線は複数書かずに原則1本にしましょう。

また、矢印や線が重ならないようにすることも重要です。矢印や線が重なっていると、どこからどこに向かった矢印なのかわからないためです。
 
 

良いプロジェクト体制図の書き方例

 
本来作成すべき体制図の例は以下のとおりです。(あくまでも一例です)

良いプロジェクト体制図の書き方例


 
主なポイントは以下の点です。

◯ 指揮命令系統は1つにする

◯ 並列の位置にあるリーダーは役割が分かるように「業務チーム」「システムチーム」と分ける

◯ 業務チームとシステムチームの配下に各領域の責任者がいることが分かるようにする
 
 

さいごに

 
プロジェクト体制図は「プロジェクトに参加するメンバーとそれぞれの役割を定義する」「メンバー間の指揮命令系統を定義する」という大事な目的があります。普段使っているプロジェクト計画書のフォーマットに体制図のページがあるからとりあえず作った、ということではなく、しっかりと実務に合わせて役に立つ体制図を作ることで、プロジェクト成功の確率を上げることができますので、今一度見返して見ても良いかもしれません。
 
当社では過去にいくつものプロジェクトを推進した実績があり、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)としての実績もございます。

・体制図を作ってみたけれど形骸化してしまう
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無料のご相談もお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。
 
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