テレワークで地方移住|『静岡市お試しテレワーク体験事業』を通じて分かった働き方を選択できる重要性

テレワーク 働き方

株式会社エッグシステム代表取締役の高橋翼です。
コロナウィルス感染症の拡大により、今年に入ってからテレワークを行うことが大幅に増えました。

テレワークが当たり前になると、働く場所を自由に選択できるようになります。そういった背景から、地方への移住を検討する方も増えています。実際のところ地方でテレワークをするのは現実的に可能なのかどうか、私自身が気になったので、実際にやってみました。

私の地元静岡市で2020/10/27〜10/29までテレワーク体験をしてきました。静岡で3日間テレワークをやってみて感じたことやメリット、デメリットなどをまとめておこうと思います。

地方へのサテライトオフィス設置や、地方移住など検討されている方にとって役立つ情報になれば幸いです。
 
 

地方移住を検討する方向け『静岡市お試しテレワーク体験事業』

 
そもそものきっかけは『静岡市お試しテレワーク体験事業』を知ったことでした。
 
いきなり少し話が逸れますが、、私はnoteで『地方×IT』というテーマで地方のICT活用事例を紹介しています。

『地方×IT』のシステム活用事例を紹介(平日毎日更新しています)
https://note.com/x_face
 
noteで情報発信する目的は2つありまして、1つ目は事例を紹介することで中小企業や行政におけるデジタル化を推進すること、2つ目は毎日更新するというルールを課すことで強制的に自分が勉強する環境を作ることです。そういうわけで、地方でのICT活用事例に関して日々情報収集しておりまして、そこで見つけたのが『静岡市お試しテレワーク体験事業』でした。
 

「静岡市では、テレワークを活用した移住を促進するため、平成30年度から「お試しテレワーク体験事業」を実施しています。参加者には、本市に一定期間滞在しながら市内コワーキングスペース・シェアオフィスで、テレワークによる業務を行っていただきます。」
「参加者には、市内のシェアオフィス・コワーキングスペースの施設利用料、宿泊施設の宿泊費、静岡駅までの旅費(新幹線代or高速バス代)をサポート!」
※静岡市役所より

 
テレワーク体験中に、静岡市役所の職員の方から実際にお話をお聞きしたのですが、過去2年間同じ取り組みをやったところ14社約56名が参加していましたが、今年は緊急事態宣言が明けてしばらくしてから再開したところ2020年7月〜9月だけで25社約50名が参加された、とのことでした。応募者が殺到し今年度はもう予算上限に達したため、残念ながら現在は新規応募の受付は終了しています。

それほど地方移住や地方でのテレワークに関心を持つ方が増えているということが分かります。
 
 

テレワーク体験で訪問した静岡市のコワーキングスペースを3ヶ所をご紹介

 
静岡市のテレワーク体験事業で使えるコワーキングスペースを市役所の職員の方からご紹介いただいたところ、良さそうな場所が多くあったので、3日間で3ヶ所へ行くことにしました。3ヶ所のコワーキングスペースについて、それぞれご紹介します。
 
 

(1)いちぼし堂

 
https://ichiboshido.com/

いちぼし堂

初日はいちぼし堂へお邪魔しました。
実はいちぼし堂の存在は以前から知っており、一度は行って話しを聞いてみたいと思っていたためです。

いちぼし堂のコンセプトが本当に素晴らしく、施設の1Fは子どもを預けて働ける保育園、2Fはコワーキングスペース、3Fは県内外企業のレジデンス付テレワーク拠点となっています。
 

はたらくをともに育む「場」であり「しくみ」
その人らしく、その企業らしく、地域に根付いて働かれるみなさんと「はたらく」をともに育むのが、いちぼし堂です。
https://ichiboshido.com/

 
2Fのコワーキングスペースで終日仕事をさせて頂いたのですが、木目を基調とした自然溢れるデザインで、とてもキレイで仕事しやすかったです。また、静岡市の市街地から少し離れた場所にあり、周りが静かなので、新宿のビル街で仕事をするのとは全く違う感覚で新鮮でした。穏やかな気持ちで仕事できるため、終日集中して作業できました。
 
※2Fのコワーキングスペースで撮った写真です↓

いちぼし堂コワーキングスペース
 
個人的に最高だったのがテラスです。
ちょうど晴れていたので、リモート会議をテラスで行いました。
 
いちぼし堂コワーキングスペースのテラス
 
2Fのコワーキングスペースで仕事をされていた方も何名かいらっしゃいましたが、(おそらく)皆さん育児をされている母親で、いちぼし堂の運営母体であるキタガワビジネスサービス社が請け負っている仕事を担当されているのではないかと思います。
 
1Fで子供を預けて、2Fでは時短で仕事をする。
働きながらも子育てを行うには理想的な場所です。
 
 

(2)ビズコンフォート静岡

 
https://bizcomfort.jp/shizuokaken/cofficeshizuoka.html

bizcomfort
 
全国に拠点があるBizcomfortが運営しているコワーキングスペースです。

フリースペースにディスプレイがあり、デュアルディスプレイとして使用できる点は、個人的に非常に良かったです。(変換ケーブルを忘れたせいで私は使えませんでしたが…泣)

広い会議室がいくつかあり、専用の個室も多く、個室を借りられている会社も多かったです。
コーヒーなど飲み物が用意されていたり、受付には常時事務の方がいたり、設備が整っている点が印象的でした。また、静岡セノバの目の前にあるので、非常に便利な場所です。
 
 

(3)=ODEN(イコールオデン)

 
https://oden.shizutetsu.net/

イコールオデン
 
静鉄グループの静岡鉄道株式会社が運営しているコワーキングスペースです。

2020年9月末にオープンしたばかりということもあり、ここも非常にキレイでした。
1Fはコワーキングスペース、2Fは個室の専用スペースがあります。1Fのコワーキングスペースにはキッチンスペースもあり、自由に冷蔵庫を使ったり、コーヒーを淹れることもできます。
 
面白いと思ったのは、静岡鉄道株式会社(通称、静鉄)が運営していることもあり、電車で使われている荷物置きがコワーキングスペースに設置されていることでした。
 
=ODENコワーキングスペース
 
なお、1Fはイベントスペースとしても使用できます。ちょうど来週の2020/11/20(金)には、株式会社レッドジャーニが主催する「静岡DXコンソーシアム」のキックオフも行われます。

株式会社レッドジャーニー、DX推進のための任意団体「静岡DXコンソーシアム」を支援します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000066787.html
 
余談になりますが、静鉄さんは「静岡移住計画」という取り組みも行っており、地元静岡の人口減少という社会課題に対して真摯に取り組まれており、とても良い刺激を頂きました。
 
 

リモートワーク体験を通じて分かったこと

 

地方でのテレワークは可能、サテライトオフィス設置が現実的


静岡市でのテレワーク期間中、東京の方と打ち合わせは何件もありましたが、全てリモート会議にしていたので、全く問題なく仕事することが出来ました。なお、静岡であれば東京まで新幹線で1時間で行けるので、週に1回は対面の打ち合わせを都内で行うといったことも十分に可能です。
 
最終的には自分が行っている業務内容次第にはなってしまうのですが、少なくとも私が行う仕事(システムコンサルティングやシステム開発)においては、地方でテレワークを行うことは可能です。システムコンサルティングの仕事では、お客様と対面で打ち合わせを行うことも重要なのですが、例えば毎週ではなくとも、隔週でご訪問する、月に1回ご訪問する、それ以外はリモート会議やチャットツールでコミュニケーションをとる、といったことは現実的に可能だと考えています。
 
地方でリモートワークするにあたり、サテライトオフィスを設置することが現実的ではないかと思います。
 

サテライトオフィスとは、企業の本社・本拠地から離れた場所に設置されたオフィスのことです。本社の“サテライト=衛星”のように存在することから、このように名付けられました。
※出典:https://workit.vaio.com/i-satellite-office/

 
パソナグループのように本社拠点そのものを地方へ移転するという選択肢もあると思いますが、すぐに出来ることではありません。そう考えると、まずは地方にサテライトオフィスを設置することはハードルが低く、現実的な選択肢になるのではないかと思います。
 
パソナグループ 本社機能を分散、淡路島に移転開始
 
 

逆に地方にいる方はリモートワークに慣れていない

 
静岡市役所の職員の方たちや、静岡で仕事をされている方にもお話を聞きましたが、静岡で働く方たちはテレワークに不慣れていない方が多いというのが実態です。
 
緊急事態宣言により、強制的にリモートワークをしなければならない時期もあったため、最低限の使い方は分かる方は多いのですが、2020年10月現在で言うと、リモートワークを継続的に行っている企業は多くはないようです。
理由は3つあると考えられます。
 
1つ目は、そもそもリモートワークができない業務だからです。
特に静岡の場合は、製造業が多いため工場などの現場へ行かなければいけないことが多く、リモートワークをしにくいというのが一つの要因です。こういった業務に携わる場合はリモートワークは難しいです。
 
2つ目は、会社のデジタル化が進んでおらず、押印申請のために紙の書類を作成して提出する、FAXの送受信を行う、セキュアな社内環境からしか業務システムを使えない、といった仕組みの問題です。この点については、企業努力によりデジタル化を推進し、会社のルールを変えることでリモートワークへ切り替えられる可能性があります。
 
3つ目は、対面とリモートワークを比較すると対面の方がコミュニケーションを取りやすく慣れているから、という理由です。緊急事態宣言のような強制力が働ければリモートワークをしなければいけませんが、そうでない場合は必要性をそれほど感じていないという理由も大きいと思います。
 
 
1つ目の理由はどうしようもないため、2つ目と3つ目の理由について、もう少し詳しく深堀りしたいと思います。
 
 

働き方を選択できる環境にはデジタル化が必須

 
テレワークを恒久的に可能にするためにはデジタル化が必須です。
押印申請のために紙の書類を作成して提出する、FAXの送受信を行う、セキュアな社内環境からしか業務システムを使えない、といった問題はデジタル化してクリアすべきだと考えられます。
 
なぜなら、仕組みの問題をクリアしておかないと、そもそもテレワークができないからです。テレワークを必ずやるべきだと主張したいわけではなく、出社するかテレワークするかの働き方を選択することができない、という点が問題だと考えています。

今後またウィルスなどの感染が拡大したことを想定したリスク対策とも言えます。
 
また、デジタル化については、テレワークを行えるようにするという目的以外にも生産性を向上させるという意味合いもあります。
 
 

「働き方を選択できる」ということの重要性

 
3つ目の対面とリモートワークを比較すると対面の方がコミュニケーションを取りやすくという理由に関しては、悪いことだとは思いません。フルリモートワークを行っている私ですら、打ち合わせをする際はやはり対面の方がいいと思うことも多々あります。
 
対面には対面の良さがあり、対面でしか生み出せないことがあることは事実だと思います。一方で、テレワークにはテレワークの良さがあります。先ほど述べたように、今後またウィルスなどの感染が拡大したことを想定したリスク対策にもなりますし、子育てなどを行っているためテレワークで柔軟に仕事するほうが働きやすい人もいるためです。
 

出社(対面)かテレワークか、という点については、どちらか一方を選択するのではなく、どちらも対応できる状態にすることが一つの解ではないかと考えています。

社員が働き方を選択できるようになると、社員満足度が上がります。すると社員の定着率が上がりますし、採用時のアピールに繋がります。今後ますます人材不足が加速している社会状況においては、社員満足度という人事的な観点も重要ではないかと考えています。
 
 

〈まとめ〉地方移住に向けた地方でのテレワークについて

 
テレワークを実施すべきと主張するわけではなく、働き方を選択できることが重要であると書かせて頂きました。
 
・サテライトオフィスの設置などにより、地方でテレワークすることは現実的に可能
・地方企業ではリモートワークがまだ進んでいない
・リモートワークを行うためにはデジタル化が必要
・働き方を選択できる会社は社員の定着率が上がり、新規採用もしやすい
 
地方でテレワークを行うためにも、まずはテレワークを行える環境づくりが第一歩目となります。そのためには、業務のデジタル化が必須です。
 
「そうは言ってもどこから手を付ければよいか分からない・・・」
「テレワーク環境を整備したいけど、セキュリティが気になって踏みとどまってしまう」
「他社の事例を知りたい」

こういったお悩みを抱えていましたら、無料でご相談を承っていますので、お気軽にご相談頂ければ幸いです。
 
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