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DX認定制度とは?申請手順や認定基準を分かりやすく解説します

DX認定制度とは?申請手順や認定基準を分かりやすく解説します

ここ最近「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という言葉を耳にする機会が非常によく増えました。コロナ禍において密を避けるために、オフラインからオンラインへシフトし、これまでとは違ったやり方で顧客へ付加価値を提供していく必要があるため、ビジネスモデル変革としてDXが叫ばれています。
 
経済産業省では、企業のDXを促進するために、過去2回DXレポートを公表しています。1回目のレポート内容については過去のコラムでも解説しました。

さらに、企業のDXを促進するために2020年11月から経済産業省と情報処理推進機構(IPA)による「DX認定制度」が始まりました。

DXへ取り組む企業に対して税制面で優遇する「DX投資促進税制」では、DX認定を取得していることが要件に盛り込まれているため、DX認定制度は今後DXへ取り組む企業にとって重要な制度です。

そこで本コラムでは、DX認定制度の内容、申請手順、認定基準、取り組む上での留意事項を分かりやすく解説します。
 
 

DX認定制度とは?

 
DX認定制度とは、以下のように定義されています。


ビジョンの策定や戦略・体制の整備などをすでに行い、DX推進の準備が整っている(DX-Ready)事業者を経済産業省が認定するものです。


DX-Readyとは、「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」です。

もう少し具体的に言うと、以下5点を満たした状態が「DX-Readyの状態」と言われています。

◎ 経営者がデジタル技術を用いたデータ活用によって自社をどのように変革せるのかが明確になっている
◎ 実現に向けた戦略が立案されている
◎ 必要な組織や人材が明らかになっている
◎ ITシステムの整備に向けた方策が示されている
◎ 戦略推進状況を管理する準備ができている
 
DX認定制度の仕組みとしては、経済産業省が認定し、事務局としてIPAが手続きを行うようになっています。

〈DX認定制度の仕組み〉

〈DX認定制度の仕組み〉

出典:DX認定制度 Web申請受付開始のご案内(IPA 情報処理推進機構)

認定基準


経済産業省が定めた「デジタルガバナンス・コード」の基本事項に対応しているかどうかが認定基準となります。

デジタルガバナンス・コードとは、企業がDXへ自主的に取り組めるように、経営者に求められる対応(デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定や公表など)を経済産業省が定めたものです。

※詳細は後述します。
 

申請対象者と申請スケジュール


DX認定制度の対象は全ての事業者です。
法人だけでなく、個人事業者でも申請することが可能です。

また、1年を通していつでも申請が可能ですので、時期を意識することなく申請できます。
 

認定の有効期限


DX認定の有効期限は「2年間」です。
 

認定状況


2021年6月14日時点では「116件」の事業者がDX認定制度を取得されています。
 

申請方法


Webサイトから申請します。
申請にあたっては「gBizID」の事前取得が必要です。
 
申請の詳しい流れについて解説します。
 
 

DX認定制度の申請の流れ

DX認定制度の申請の流れ

(1)「認定申請書」と「申請チェックシート」を準備


IPAのWebサイトで公開されている「認定申請書」「申請チェックシート」をダウンロードして記入します。必要に応じて、戦略に関する補足資料や課題把握に関する証跡資料も準備します。

※IPA Webサイト:https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxcp.html
 
なお、認定申請書については、既にDX認定制度を取得した企業が提出したファイルを閲覧することができますので、こちらを参考に記述することをオススメします。


DX認定制度 認定事業者の一覧


(2)申請Webサイト【DX推進ポータル】へアクセスして申請


事前にgBizIDを取得した上で、DX推進ポータルへアクセスします。
gBizIDでログインし「DX認定制度の申請・届出行う」リンクを押下すると、申請書をアップロードできる画面が表示されるので、申請書をアップロードし、申請します。

〈DX推進ポータル ログイン後の画面〉

〈DX推進ポータル ログイン後の画面〉

(3)認定結果の受領


事務局からメールで認定結果が通知されます。
認定後は、IPAの認定制度HPにて、認定事業者一覧として公表されます。
 
 

DX認定制度の申請内容について

 
申請チェックシートの内容が、先述した「デジタルガバナンス・コード」に対応しており、全部で6項目あります。
 

(1)企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性の決定


〈認定基準〉
デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえた経営ビジョンやビジネスモデルの方向性を公表しているかどうか。

企業としての方向性を決めるだけでなく、対外的にホームページ等で公表する必要があります。
 

(2)企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な方策(戦略)の決定


〈認定基準〉
策定したビジネスモデルを実現するための方策として、デジタル技術を活用する戦略を公表しているかどうか。

データが重要経営資産の一つとして捉えられているため、ここで策定する戦略ではデジタル技術を用いたデータ活用が組み込まれている必要があります
 

(2)① 戦略を効果的に進めるための体制の提示


〈認定基準〉
デジタル技術を活用する戦略において、特に、戦略の推進に必要な体制・組織に関する事項を示していること。

DXへ取り組む上で必要となるIT/デジタル人材の定義や、社外リソースを含めた人材獲得・育成方法を明確にして公表する必要があります。現状とのギャップがある場合は、それを埋める方策を明確化します。
 

(2)② 最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示


〈認定基準〉
デジタル技術を活用する戦略において、特に、IT システム・デジタル技術活用環境の整備に向けた方策を示していること。

レガシーシステムがあるならば、レガシーシステムの技術的負債をどのように最適化するのか(リプレイスするのか、現状のままデータだけ抽出して活用するのか等)など、ビジネス環境の変化に対して柔軟に対応できるシステム環境を整備する方策を示す必要があります。
 

(3)戦略の達成状況に係る指標の決定


〈認定基準〉
デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標について公表していること。

最終的な成果(KGI)と、目標達成に至るプロセスにおける達成度合い(KPI)を定義し、公表します。
 

(4)実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進等を図るために必要な情報発信


〈認定基準〉
経営ビジョンやデジタル技術を活用する戦略について、経営者が自ら対外的にメッセージの発信を行っていること。

これは「経営者は、デジタル技術を活用する戦略の実施に当たり、ステークホル
ダーへの情報発信を含め、リーダーシップを発揮するべきである」
という考え方に基づいています。ホームページ等で経営者自らのメッセージを発信する必要があります。
 

(5)実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握


〈認定基準〉
経営者のリーダーシップの下で、デジタル技術に係る動向や自社の ITシステムの現状を踏まえた課題の把握を行っていること。

現状を正確に把握しているかどうか、ということでIPAが公開する「DX推進指標」によって自己分析を行うことも可能です。
 

(6)サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定及び実施


〈認定基準〉
戦略の実施の前提となるサイバーセキュリティ対策を推進しているこ
と。

DXというと、ビジネスモデルを変革して事業規模を拡大していく”攻め”のイメージがありますが、その一方で”守り”となるセキュリティ対策について、サイバーセキュリティ経営ガイドライン等に基づき、施策を講じる必要があります。
 
 

DXを推進するために


2021年6月時点では、DX認定制度を取得している企業のほとんどが上場企業です。先述した認定基準をご覧いただくと分かるように、ビジョンの策定から具体的な戦略・戦術へ落とし込みだけでなく、推進体制を整備したり、対外的に公表したり、サイバーセキュリティ対策を講じたりと、行わなければならないことが多岐にわたるため、お金やリソースに余裕のある上場企業が取り組んでいるのだと考えられます。

ただ、認定基準さえ満たせばDX認定制度を取得することは可能ですので、非上場企業でも準備さえしっかり行えば十分に可能だと考えられます。

DXへ取り組み、DX認定制度を取得するためには、社内リソースだけで対応することは困難であることが多いです。なぜなら、もし社内リソースが十分であるならば、既にDXの取り組みを行っているはずだからです。

現時点でDXへ取り組めていないということは、社内に経験やスキルを含めたリソースがいないことが考えられるため、社外リソースを活用しながら推進することが現実的です。

その際に気を付けるべきは、単なるシステム導入やデジタル化を「DX」と読んでいる営業文句です。DXはビジネスモデルの変革を目的とするため、最低でも新規事業の立ち上げ経験が必須であり、デジタル技術はあくまでも手段です。
システムやデジタル技術は手段であることを認識して、ぜひDXへの取り組みをご検討されてみてはいかがでしょうか。

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